タイで会計コンサルタントをしている公認会計士の西川です。

タイで活躍するビジネスパーソン向けに、慣れない管理業務に役立つ会計管理の基礎について発信しています。

前回の記事で、タイ人経理スタッフが、「VAT納付は現金のみ」と嘘をつき、銀行から現金を引き出すことで行う横領をご紹介しました。

この対策は、「現金を直接触らせない」ことでした。(線引き小切手 or 振込み)

しかし、タイ人経理責任者に何らかの理由をつけられ、どうしても現金支払いを拒否できない場合もあるかと思います。

本日はその場合の横領防止方法をお話します。

それでは見ていきましょう!

横領の概要

先ず、タイ人経理責任者が、 何らかの理由をつけ、「現金払いが必要である」と言ってきます。

この理由が、前回記事では「VAT納付は現金のみ」という嘘だったわけですが、理由付けには様々なパターンが考えられます。

そして、理由づけ次第では拒否しにくい場合もあるかと思います。(特にタイローカル企業との取引の場合)

「タイではこうなんです!」と言われると、日本人には判断が難しい

拒否できなかった場合、その後の流れは前回と同様です。

先ず、「線引でない小切手」などを使用し、銀行から現金を引き出します。

そして、「支払はせず現金をポケットへ入れ、それを虚偽の仕訳で隠蔽」をします。

(なお、支払先から支払遅延の督促があると横領が発覚するため、それを回避するよう色々と工夫をしますが、長くなるので割愛します)

横領の概要は以上です。基本的には、前回と「現金が必要な理由づけ」が異なるだけです。

対策例

今回の事例は、「現金払いの正当性の判断がつかず、現金を持たせざるをえない」という前提の話です。

したがって、現金を持たせた後のプロセスで防止するしかありません。

ここで、現金を持たせた後のプロセスを取り出すと、以下の2段階になります。

  1. 支払はせずポケットへ
  2. 虚偽の仕訳で隠蔽

つまり、この①と②のどちらかさえ防げば良いということです。

防止方法としては、以下が有効かと思います。

  1. 日本人が同席して支払先にて納付する
  2. 同席ができない場、支払後の領収書を確認する

対応策は以上です。非常に簡単ですね。

現金を預ける限りリスクはある

ただ、「支払に同席、領収書の確認なんてやってられないよ」という声が聞こえてきそうです。

しかし、現金を預けてチェックをしなければ、盗られても文句は言えません。

チェックをしないというのは、担当者の誠実性に依存をしているだけです。

一定額以上の支払は現金を直接触らない方法(振込、線引き小切手)を原則とし、 多額の現金払いはあくまで「例外中の例外」という位置づけとします。

※小口現金による小額支払は別です。

そして、スタッフが何らかの理由で「現金払いが必要」と言ってきた場合、どうしても判断がつかない時だけ許可し、「支払い同席」or「領収書の確認」で直接的にチェックをします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、どうしても現金支払いをしなければならない場合の横領防止策をご紹介しました。

対策は、先ず、一定額以上の支払は現金を直接触らない方法(振込、線引き小切手)を原則とし、多額の現金払いは「例外」扱いとします。

そして、何らかの理由でどうしても多額の現金払いが必要な場合、 「支払い同席」or「領収書の確認」で直接的にチェックをします。

現金をスタッフに預ける限り横領のリスクはありますので、もし多額の現金を預ける場合は十分慎重に対応をしてください。

最後にお伝えしたいこと

分からない時は知っている人に聞く

慣れない海外で、しかも経験の浅い会計分野であれば、タイ人スタッフの言うことの妥当性判断は難しく、時間がかかります。

これを1つ1つ「こんなことを言っているけど本当だろうか、、銀行に確認してみよう」などとやっていれば時間がいくらあっても足りません。

また、正直なところ、プロでなければ正解にたどり着けないケースも多いです。

海外ビジネス現場ではリソースが限られています。

「限られた時間を浪費」したり、「誤った判断をしてしまう」よりは、在タイ歴の長い方や、その道の専門家に聞き、素早く・確実に解決することをお勧めします。

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